のざわゆきお氏 JapanExpo出展

フランスで開催されるJapanExpo、世界最大の日本文化のイベントに「北海道アーティストブース」が開設され、北海道アーティスト6名が参加した。

そのなかの1名、のざわゆきお氏は風刺画イラストレーターだ。世界情勢、経済、文化格差、外交問題などさまざまな切り口と、ときにはエスプリの聞いたブラックユーモアで表現する。イラスト自体は穏やかでのどか、しかしその裏には鋭い批判と、皮肉が込められている。地元でははがされたり、表現の過激さから、受け付けてもらえないこともあるらしい。

そんなのざわ氏の作品群がフランスでの大規模イベントで展示された。その様子を見ていきたいと思う。



[展示作品]

穏やかな絵柄で構成されるカラーイラストだが、ときには激しい描写がある。中東戦争で争っていても結局武器商人の手のひらの上だとか、韓国が日本と島を切り分けている姿、捕鯨禁止問題に関するイラストなどである。宗教、政治的な描写には見る人の国籍、信条、宗教、人種によってはタブーなものも多いだろう。それ以外もイラストも程度の差はあれ、微弱な毒が入っている。カップルで月見をしているが男の考えは下心(狼男)だけだとか、なごやかな中にも現実の毒への直視がある。

しかし、展示されたのは批判大国、個人主義国のフランスである。概ね好意的に受け入れられたと思う。

[訪問者]

のざわ氏の作品は展示テーブルと壁に配置された。会場内大通りに面した正面のテーブルなので比較的見やすい場所であり、通行する多数のゲストが必ず目に入る場所だ。文化芸能イベントステージの横というのも利があり、文化に興味のある人が通りやすい。


JAPANEXPOには世界中の訪問者が来る。まずフランス人は年配の夫婦や男性に興味を持ってもらえることが多かった。楽しげなイラストだが、描写されているモチーフから新聞の風刺漫画のテイストだとすぐにわかるのであろう。表現によって言葉の壁や文化の壁を越えて、主張ができるのがアート作品のすばらしいところだ。フランス人夫婦や男性たちはまず手に取り、その意味をしろうとする。人によって時間差はあり、話題によっては理解できないものもあるが、それでも裏の意味を理解したときはくすりと笑う。連れや仲間がいたときは「おい、これはあの時事のことだよね」と笑いながら言う。風刺画を大人の知的パズルとして楽しみ、わかったときは答え合わせの愉しさを共有しているかのようだ。

またフランス人の若いコスプレ女性も興味を示す人が多かった。ピンクや赤青の派手な色彩の衣装のアニメキャラ風の仏人女性たちが額を手に取り、「へぇ面白いね」「どういう意味だろうね、これ?」と言い合う。絵柄が穏やかなので導入しやすいのであろう。また謎やクイズの提示への挑戦心かもしれない。風刺や皮肉のなかには男女共通のネタもあるので、その辺の面白さは世界共通であろう。


アジア人やアフリカ人も多く、訪れた。彼らは男女の学生だったり、おそらく中高生くらいの方たちもいた。彼らものざわ氏の作品を眺めて手に取る。日本の国をよく知る人も知らない人も、自分の国や関連時事が日本人にどのように思われているかには興味があるのであろう。そういう意味でのざわ氏の作品は外国報道をイラストという手法で翻訳したかのような楽しみ方がある。


ブースではヒアリングによる簡単なアンケートも行われた。のざわ氏の作品の反応を知るためだ。全体の印象としては「面白い」「絵も楽しい」というものが多いが、作品によって反応も異なる。「鳥」「鯨」「狼」など動物の絵があるものの方が好評だった。また色のわかりやすいものも好評だ。風刺イラストは見ている方の文化背景によって理解に個人差があり、「面白い」「わからない」「意味はわからないが、絵は楽しい」という意見に分かれた。ジョークやユーモアは文化背景に起因するためにこのような意見にわかれるのであろう。

より興味を持たれたのがポストカードだ。狐などの動物のイメージの組み合わせだが、「パズル的な組み合わせ」、「絵柄がおもしろい」と興味を引いていた。


また別途派遣された弊社取材レポーターは以下のコメントを残している。

年配の方がよく立ち止まって眺めていたが、温かみのあるイラストに興味を持つ若者も見受けられた。年配のマダムは、説明をすると熱心に聞いていた。ポストカードも、家族連れなど、年代問わず多くの人が見ていた。」


絵の内容、真意について、質問を多数受けるかと考え、多少は予習もしたのだが、意外と訪問客からの質問は少なかった。それは関心がないわけではなく、質問せずともみただけでわかることが多かったようだ。

ヨーロッパ人は国際情勢や社会問題に関心のある人が多い。それは若年層といえども例外ではない。そのような環境下でのざわ氏の風刺イラストはユーモアとともに時事問題や文化問題を楽しみながら、ときには過激さを感じながら文化交流できる知的な表現ツールといえるかもしれない。今後ののざわ氏の海外展開が非常に楽しみといえよう。

AT-PLAN株式会社

台彰彦

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