野菊の墓

野菊の墓

伊藤左千夫作

初恋の許されていない若い民子さんが死の覚悟をする。


  近頃、伊藤左千夫さんの書いた「野菊の墓」という小説を原作にした澤信一郎映画監督のフィルムをネットで見た。

 

  15歳の青年(斉藤政夫)と2歳年上の従姉(民子さん)がお互いに恋に落ちる話である。若い二人は青春そのものであり、子供のように可愛くて純粋な感じがした。

 

  お互いに告白する時、言いたいことを花に喩えているイメージが美しい。正夫さんは民子さんに「菊が好きだ。あなたは菊のような人だ。」と打ち明ける。それに対して民子さんが「リンドウの花が好きだ。あなたはリンドウの花のような人だ。」と答える。この台詞は間接的なのだが、私はとても好きである。すなわち「人間の内部世界の深いところまで踏み込んでいく描写である。」と言えるかもしれない。これは齋藤孝が使った言葉であり、日本語としてはとても気に入っている文である。なぜならば花というのは人間の心を鏡のように一番表しているからだと思う。