「こころ」夏目漱石 感想2-後半

「こころ」夏目漱石

(第二部分と第三部分について) 真心、暗闇と死。

 偽りのない心、すなわち「真心」というのは夏目漱石の美徳であると感じている。「こころ」という小説の第三部分に出てくる若い男性のKさんがその代表者であると私が信じている。Kさんという青年が自分の中に潜んである全ての欲を捨てようとする珍しい男性である(禁欲)。つまりこの登場人物が日本における近代化の日本人ではなく、どちらかといえば明治時代以前の男性の考え方を持ち、明治時代以前の暮らし方も送っているような気がする(江戸時代)。Kさんが若い書生でありながら考が深い。口の固い男で、喋る前に口をもぐもぐさせる癖を抱いている。お腹空いても食べない。寒くても火鉢を求めない。眠たくても寝ない。そして誰かを愛しても打ち明けない。増してKさんは純粋である。嘘をつかない。何も隠さない。質素なので彼の魂が美しく見える。けれど同時に孤独な人間にも思える。