【フランス解雇事情】

強い労働法を持つフランスでは解雇にも一定のルールがあります。経営者からみて単に「気に食わない」、「元気がない」といった主観的、抽象的理由では解雇できず、所定の手順で進める必要があります。

※下記は一般的な情報としての記載です。個々人のケースによっても状況は変わりますので、個別具体的な相談は専門コンサルタントへの依頼をすることをお勧めします。

解雇には以下の3種類があります。(2008年10月現在)

①辞任 demission

被雇用者(従業員)自らが辞職届を出してやめることです。しかし、失業保険はもらえません。失業保険の受給資格は「自分の意思に反して失業状態にあること」なので 、辞任では認められないのです。後日のトラブルを避けるために辞表は内容証明郵便で送る方が安全です。 辞任の理由を説明する義務は被雇用者にはありません。

② 解雇 licenciement

会社から労働契約終了をさせられることです。

②-1「経済的理由による解雇」

会社側の経済的な理由による解雇の場合です。 企業は解雇前に他のポストを提案する義務があります。 またそのポストの人間を解雇した後に同じポストに新しい従業員を雇用することは原則できません。 差別的解雇はできません。事前面談が必要であり、雇用者には第3者同席の権利があります。 解雇された人は解雇手当や失業保険がもらう権利があります。

②-2「有責解雇」

雇用者に責任があって解雇される場合です。 理由を従業員に説明する義務があります。 差別的解雇はできません。事前面談が必要であり、 雇用者には企業内第3者同席の権利があります。 主に過失や企業に対する重大な損害責任があった人に適用されます。

③ 合意による契約終了 rupture conventionnelle

双方の話し合い、同意による上での契約終了です。一定の手続きの上で失業保険需給可能。 比較的最近できた法律です。

※上記いずれにしても事前通告のルールがあります。

・一般社員は一ヶ月前

・管理職は3ヶ月前

というのが一般ですが、課長補佐とかの身分の場合、 2ヶ月前というケースもあります。詳しくは自分の労働契約書に明記されています。

※解雇においてトラブルが発生した場合、

示談 transaction はかなり一般的です。 企業、雇用者双方が裁判にかける時間と費用を削減するための解決策といえます。

※解雇手当 indemnite de licenciement も辞任や有責解雇以外は支払われるケースがあります。

辞職のつもりがなくても、現状労働契約や退職規定はたまに確認したほうが良いと思います。意外と経営者も知らない場合もありますので、自己防衛のためにも、自分に関係ある法律は知っておくべきですね。自分の権利を認識することで、弁護士と話す時も要点を絞り易く、建設的な解決策に 近づけると思います。 これは経営者がわにも必要なことだと思います。

【最後に】労働法、各種法令も日々変わります。詳細に関しては専門家へのご相談をお勧めします。

また私の認識の違いがあった場合は遠慮なくご指摘していただければ幸いです。