【概要】
2013年11月12日から18日にパリ市内のオペラ地区にあるパッサージュショワゼルにて北海道在住の風刺イラストアーティスト「のざわゆきお氏」の個展が開催された。
同パッサージュはギャラリーや国際イベント、アジア美術品も並ぶ、文化的な伝統的アーケードである。JapanExpo出展経験もあるのざわ氏は今回10作品を展示。事前のPRによって在住の日本人、日本文化に興味を持つフランス人、風刺漫画のファンなどが多数来館しにぎわいを見せた。
数々の展示経験のあるのざわ氏。自らの展示、作品をアートよりも報道と位置付けてはいるものの、宗教、政治絡みのモチーフも大きく、ときには反感や批判をうけることもある。それにも拘わらず自身の作品を作り続けるのざわ氏のファンも多い。
今回のパリ個展に関して、同氏は「男と女の社会学」をテーマに、10作品を選んで展示した。「古今東西の営みから、このテーマは偉大なる諸先輩に描き尽くされた感がありますが、文化背景の少し異なった人間の目線による、男と女の「危険な関係」を楽しんでいただけたら幸いです」というのはのざわ氏談。
【のざわ氏の展示】
選抜した10作品がギャラリー内に展示。日仏翻訳分による解説も付け、エスプリのきいたユーモアが閲覧者を楽しませた。
01「挑発」、02「原子の誘惑」、03「アワモリ」、04「現地妻」
05「偽装婚永住」、06「介護疲れ」、07「魔の三角カウンター」
08「夜の袋競り」、09「親バカ婚」、10「ムーンライト」
【インタビュー&ヒアリング】
随時ではあるが、これら作品に関しての感想をインタビューした。
話好きでたくさん会話をしたり、好きな作品でも少し批判的にするのがフランス的でもある。(仏語コメントを日本語へ意訳、年齢は推測、弊社レポーター調査によるヒアリング)
◆ビジネスマン風 フランス人男性 50代
・「(ていねいに説明を読み)日本にも風刺画があると初めて知った。これは良い発見だ。」
◆欧州人 男性 60代
・「フランスでも移民の偽装結婚が問題になっているが、日本でも偽装結婚があるとは、どの国も抱える問題は同じだな」
◆アフリカ人女性 50代
・「ものによってわかりやすいものと、わかりにくいものがあるわね。私は一目で描かれていることが分かる作品が好きなので、解説がなければ理解できない作品は個人的に好きではない。もっとストレートなものも見てみたい。 」
◆アジア人女性 おそらくインドかフィリピン等
・「絵柄がクレヨンしんちゃんみたいでかわいい。でも、非常に男性向け、男目線の作品という感じがする。男性受けするジョークがおおいわね。悪い意味ではないけど。 」
◆ドイツ人男性 40代
・「最初は面白そうなマンガみたいな絵と思って見て、解説を読むと、深いことが描かれているんだな、と分かった。そのギャップが面白いし、ユーモアが聞いていて知的に面白い。 」
【総評】
批判的な意見もあるが、興味を引く訪問者も多かった。この界隈は比較的、文化好きなフランス人の熟年層夫婦や、欧州系家族が来るために、コアな社会的情報、文化情報は好まれる傾向にある。今回は初のパリ個展ではあるが、今後の展開としては、いくつかの作品や別のタイプの風刺絵も織り交ぜて、定期的に開催することで知名度をあげたり、文化展示としてのステージをあげることできると思われる。しかし、費用もかかることなので、まずは小型の個展から始め、細く長く様子をみるのが良いであろう。
次回展示会出展は在庫があればそちらを優先に活用もでき、展示会展開のほかに常時展示のギャラリー、アートスペース探しも対応可能なため、フランス展開に興味があるのであれば今後の展開に協力させてもらえれば幸甚である。
【参考リンク】
■AT-PLANイベント紹介ページ
http://www.at-plan.eu/nozawa/ld
■AT-PLANアーティストページ:
http://www.at-plan.eu/nozawa